【名車珍車紹介】ヤマハ TZM50R〈4KJ〉を好き勝手語る

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日本で最初にオートバイが誕生したのは1909年だそうです。

それがやがて世界一と言っても過言ではないオートバイ大国となり、数多くの名車・珍車を生み出してきました。

そんな名車や珍車の中でも原付一種、原付二種に絞って、個人的な思い出話なども含めて好き勝手語っていきたいと思います。

今回は1994年に登場した、TZM50Rです。

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ヤマハ TZM50Rの話

まえがき

今回紹介するのは、1994年2月に登場したヤマハのTZM50Rです。

ミニバイクレース界の覇権を奪い返すべく投入されたマシンであり、妥当NSRを掲げて作られたマシンですね。

まずはこの「ミニサイズレーサー」というジャンルを切り開いたのは、ある意味ではスズキのギャグでしょう。

元祖?ミニバイクレーサー GAG

出典:BikeBros.

しかしながら、こいつは名前の通りに遊び心を前面に押し出されたマシンとなっており…かなり走れるバイクながらもレーサーとは言い難いもの。

ギャグに関しては別記事が詳しいのでそちらに譲るとして…ギャグから遅れること1ヶ月後に登場したのがヤマハのYSR50です。

ギャグを「ある意味では」としたのは、やはりミニバイクレーサーということを考えるとYSR50の登場こそがこのジャンルの過熱化に繋がったから。

1986年に当時のTZRそっくりの外見に、7psを誇る2stエンジンを搭載して登場したのがこのYSR50でした。

ミニバイクレースの開拓者 YSR50

出典:BikeBros.

この時代はサーキットブームということもあり、当然このゼロハンスポーツ達もサーキットに持ち込まれることになります。

やはり125ccや250ccのレーサー等に比べるとコストが安く、サイズの関係上大きなサーキットでなくても走れるという手軽さが魅力。

そういったこともあって、YSR50の登場により現在まで続く12インチのミニバイクレースというジャンルが確率します。

この辺りはYSR50の記事が詳しいのでそちらに譲ることに。

そんなミニバイクレース界に翌1987年にホンダNSR50が登場。

YSR50の空冷に対してNS50Fがベースの水冷エンジンが詰まれ、更にはクロスミッションで武装。

前後ディスクブレーキとこのクラスでは例の無い豪華装備…いや、まさにレーサーといった装備が盛り込まれました。

YSR50もモデルチェンジを行い対抗するものの…やはり設計段階でのハンデは大きく、ミニバイク界はNSR50一強という時代に。

この辺りの話はNSR50の記事が詳しいです。

ミニバイクレース界の王者 NSR50

出典:BikeBros.

3年後となる1990年にヤマハからはTZR50が投入されますが、コイツはRZ50の後継モデルといった位置付け。

同時発売となった市販レーサーのTZ50とほぼ共通というスーパーな車体ではありますが、ホイールサイズが17インチ。

レースによっては混走もあったものの、主流は12インチのミニクラスと13インチ以上のクラスとに分けられていました。

SP12とSP50とか、S12とS50なんてクラスがありましたね。

ということでNSR50とTZR50は戦う舞台が違ったのです。

当然12インチのミニクラスでもヤマハが黙っているわけはなく、1994年に今回の主役となるTZM50Rが登場します。

本日の主役 TZM50R

出典:ヤマハ発動機株式会社

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本題

ということで1994年2月に、妥当NSR50として作られたTZM50Rが登場します。

一応YSR50の後継モデルという扱いではありますが、部品としては燃料タンクが共通なくらい?

逆に言えばあの燃料タンクはYSRと同じ物だったりします。

前書きでチラッと触れたように1990年にフルサイズであるTZR50が登場。

このTZRは1993年にフルモデルチェンジを行いTZR50Rに進化。

この辺りはTZR50の記事が詳しいのですが、TZM50RはこのTZR50Rのエンジンがベースとなっています。

2代目TZR50こと TZR50R

出典:BikeBros.

よくTZR50Rが17インチ、TZM50Rが12インチでタイヤサイズが違うと言われますが…実際のところはそれ以外にも結構違いまして…。

例えばエンジンは同じ物がベースですが、ポート形状の変更が行われたNewシリンダーとなっており、キャブ径も大型化。

CDIも特性が変更されている他、クラッチプレートが4枚に強化(TZR50Rは3枚)されています。

またラジエターもTZR50Rの物よりも大型の、TZ50のラジエターを積んでいます。

このように流用に見えつつも、実際のところは色々と変更してあるのは…時代かもしれませんね。(良い時代だ)

ちなみに、アッパーカウルはTZR50Rと共通だったりします。

そうそう余談にはなりますがこのTZMという車名…ちょっと不思議に思いませんか?

TZRというのは市販レーサーであるTZの公道用モデル(Roadsport)という説が濃厚とされています。

市販レーサーのTZという車名に関してはヤマハは名言していないハズで、色々な憶測や推測が出ていますね。

所説あるものの現状ではTが2スト、Fが4ストと思っていれば大きな間違いでは無いか?

またZはワークスレーサーYZR500の際に、YヤマハのZ究極のRレーサーとなっているために「究極の」ということに。

Zが付いた時に水冷化されたことで、「水冷」の意味もあるのでは?という説もあるようです。

それはそれとして、ヤマハは既にTZR50でTZRの名称を使ってしまっていたため…12インチのマシンを作る際に名前をどうしようかという話になったハズ…。

最終的には前年の1992年に全日本ロードレースの250ccクラスでタイトルを獲得した原田哲也さんのTZM250から名前を取ることに。

ちなみにこの時期の原田哲也選手はワークス所属ながら、会社の都合上市販レーサーのTZ250にて戦っていました。

もちろんヤマハのファクトリーの手が入っていますので、TZのモディファイということでTZM250という車名だったんですよね。

ミニバイクレース界の覇権を奪還するべく投入されたTZM50Rだけに、全日本チャンプのマシンと同じ名前…というのは都合が良かった部分もあったでしょう。

今よりも日本のロードレースが盛り上がっていた時代でもあります。

そんな原田哲也さんの話が長くなってしまいますが、1993年には世界へ進出し1年目で世界チャンピオンに輝きます。

それを記念してTZM50Rにも原田哲也カラーが、限定1,500台で登場します。

当時メインスポンサーだったテレコールカラーというやつですね。

初年度で王者となった原田哲也選手とTZ250M

出典:ヤマハ発動機株式会社

Telkorって何の会社なんだろう?

ちょっと調べるとPhone Cardってのが出てくるので、電話関係の会社ですかね?

そうそう理由は不明ですが、1993年の原田哲也選手のマシン名はTZM250ではなくTZ250Mだったりもします。

なんだか余談の方が長くなった気もしますが、そのくらい密接にレースと市販車が結びついていた時代…だったということで。

話はTZM50Rに戻しまして、戦闘力ではNSR50と同等となったヤマハでしたが…NSR50の牙城を崩すまでには至らず。

NSRは既に主流マシンであったこともありアフターパーツが豊富に揃っており、更にはユーザーが多いことからセッティングのノウハウも豊富。

そこから多くのユーザーをTZM50Rに乗り換えさせるほど戦闘力に差が無かったようです。

ヤマハ党は当然こぞって乗り換えたようですが…こだわりの無い人達は乗り換えるほどのメリットを感じられなかった…となってしまうでしょうかね?

1997年にカラー変更モデルが登場しますが、恐らくカラー以外には変更点は無し。

初期型を4KJ1、テレコールカラーを4KJ2、この97年以降のモデルを4KJ3と分けることもあるようですが…違いは色だけのようです。

時代の流れ(排ガス規制とも言えるか)により、ライバル争いをしたNSR50と共に1999年に生産終了となりました。

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思い出話

そんなTZM50Rですが、個人的にはどうにもこうにもタマが無いイメージしかありません。

確かに自分がバイクに乗り始めた頃には既に生産終了となっていましたが…NSR50はまだチラホラとありましたね。

NSR50も価格が高騰し始めていましたが、TZMは探したくても探せない…といった状態。

どこでだったか不動車の初期型、紫ホイールのTZMを見た記憶がある程度です。

2000年代後半から2010年代には知り合いのレース観戦のためにミニサーキットに行っていましたが、やはり圧倒的にNSR50ばかり。

そしてレーサーも4スト化の流れでNSF100に乗り換え…という時代でしたね。

当時のMotoGPレプリカカラーに綺麗に塗られたマシンもチラホラといましたが、例えばゴロワーズヤマハのYZR-M1レプリカも…マシンはNSRやNSFなんてことも。

一度TZMを見かけましたが、やはりオーナーさん曰く「ホンダが嫌いだから」という理由でした。

ちなみにカワ党でKSR-1で戦う方もいましたが、こちらは更に珍しいかも?

自分は両車を乗り比べたことが無い…というかTZMに乗ったことが無いので正しいのかはわかりませんが、当時のミニバイクレース界のオジサマ方が言うにはTZMの方が速いとか。

ただNSRの方が乗りやすく、更にはセッティングが出しやすいと言ってた人が多かった印象。

バッチリとセッティングが決まり、レーサーも集中しきって走れればTZMの方が速い。

しかしレースとなると外乱も多いし、セッティングのハウツーが豊富なこともあってNSRの方が好成績を残せる。

エンジョイユーザーならばタマ数が多く、部品も多いNSRの方が困らない…という感じのお話でした。

TZMの発売が1994年ではなく、TZRと同じく1990年であれば…ミニバイクレース界も今とは違っていたのかと思わないこともありません。

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