日本で最初にオートバイが誕生したのは1909年だそうです。
それがやがて世界一と言っても過言ではないオートバイ大国となり、数多くの名車・珍車を生み出してきました。
そんな名車や珍車の中でも原付一種、原付二種に絞って、個人的な思い出話なども含めて好き勝手語っていきたいと思います。
今回は2009年に登場した、KLX125です。
カワサキ KLX125の話
まえがき
一時期、唯一無二の原付2種のオフロードバイクとして存在していたKLX125です。
こいつの話をするためには、まずカワサキのオフロードの系譜的な部分を紹介する必要があるでしょう。
カワサキには似たような名称のオフ車が3シリーズ存在し、まずKXというシリーズがモトクロッサー。
要は純粋な競技用バイクであり、モトクロスなどに参戦するための公道を走れないタイプです。
旧250ccクラス用のモトクロッサー KX250
出典:BikeBros.
このKXシリーズを基に、公道を走れるモデルとして開発されたのがKDXシリーズ。
公道を走れるモデルとして…と言うより「エンデューロ向け」が適切か…。
元々はエンデューロレーサーとして登場し、そこから更に公道用モデルが派生。
一応見分け方としてエンデューロレーサーが「KDX〇〇R」となり、公道用デュアルパーパスが「KDX〇〇SR」となっています。
とにもかくにも、超簡単に言ってしまうと2stの公道走行可能なオフ車ですね。
公道用デュアルパーパス KDX250SR
出典:BikeBros.
そして時代の流れが2stから4stへ…ということもあり、競技車はなかなかしぶとく粘ったものの…ナンバー付きはどんどんと4st化していった時代。
そこでKDXの4st版として登場したのがKLXシリーズです…と言いたいのですが、実は元々は1979年にKX125の車体にKLの4サイクルエンジンを搭載したKLX250A-1が最初。
とは言え…日本では1970年代のKL250から1980年代のKL250R(KLR250)と続き、1993年に戦う4stことKLX250が登場したので…KDXの4st版という認識で良いかと。
こちらのKLXシリーズも1993年当初は、エンデューロレーサーであるKLX250Rがおり、公道用であるKLX250SRがいました。
KDXと同じく「R」と「SR」ですね。
余談ですがバリエーションモデルとして、ツーリングモデルといった位置付けのKLX250ESなんてのも。
そして1998年のフルモデルチェンジにて、統合されて末尾の無い無印のKLX250となりました。
公道仕様車 KLX250SR
出典:BikeBros.
既によくわからん…なところもあるかもしれませんが、更にややこしいのが競技用モトクロッサーであるKXにも2stだけでなく4stが存在すること。
一応KX400とかKX250とか言う場合には2stのことを指し、4stモデルはKX450FとかKX250Fとか…最後にFが付いています。
そのため2stと4stの区別のために、4stはKX-Fシリーズと分けることも。
なのですが!2019年よりKX450FとKX250Fは再び「F」の文字が外されたんですよね…。
もちろん2019年型より、名前はKXとなったものの4stエンジンです。
4stなのにKX?2019年から KX250
出典:BikeBros.
と言うのがザックリのカワサキのオフ車系の基礎情報です。
なので今回の主役のKLX125に当てはめると、4stのデュアルパーパスであるKLXシリーズの125ccモデルということに。
こいつが登場したのが2009年12月となりますが、当時の原付2種のデュアルパーパスは全滅状態でした。
1980年代には林道ブームがあったようですが…この頃には既に下火となっていたこと…。
更には原付2種の排ガス規制によって…1990年代までかろうじて生き延びていた車種がいなくなったという背景があります。
ホンダはXLR125Rが1993年に登場し2000年まで。
ヤマハはDT125Rが1985年に登場し、ロングセラーとなったものの1999年で生産終了。
スズキはDJEBEL125が1993年に登場し2000年まで。
当のカワサキもKDX125SRが1991年に登場し、1999年に販売終了となっています。
そう、排ガス規制が非常に厳しくなり…21世紀を迎えることができなかった車種ばかり…というのが当時の状況なんですよね。
本題
そんな2000年の排ガス規制でこのクラスのオフ車が1度絶滅した約10年後の、2009年12月にKLX125が登場します。
今回の主役 KLX125
出典:BikeBros.
一応立ち位置としては2stのKDX125SRの後継モデル…となりますが、ベースとなったのはKLX140Lという車両。
こちらは2008年に発売されたミニモトクロッサーであり、北米を中心に販売されたモデルです。
この車体を流用したことで、最大の特徴であるフロント19インチ、リア16インチという一回り小さなスタイルとなりました。
ベースはコレ KLX140L
出典:BikeBros.
歴史を振り返って見てもKDX125SRはF21インチ、R18インチでフルサイズ。
他3社の125ccオフローダーもフルサイズだったために、市販モデルとしてはかなり異端だったと言えるハズ。
ちなみにミニモトクロッサーでは普通のサイズであり、このミニモトクロッサーというのは元来はキッズが乗るためのモデル。
現在(2020年代)の日本でいうところのKX85Lをイメージすると良いかと。
KX85Lは2stだけど…。
ちなみに末尾に「L」と付いているのが19-16インチモデルとなり、末尾に何も付かないのが更に小さめの17-14インチモデル…というのが豆知識。
とにもかくにも、今まで一般的だった21-18インチに対して一回り小さなタイヤサイズで登場したのがKLX125だったわけです。
これは賛否両論となり、悪路での走破性が落ちることを嫌がる人は反対派に。
小さいため足付きが良く、それを活かした林道散策を楽しむ方は賛成派…といった感じでしょうか。
「実は小柄な日本人にはベストサイズ」なんて声もあり、125ccという非力さと軽量さによって日本の林道には最適という方もいるようです。
XTZ125(フルサイズ)に乗る自分としては、軽いは正義であることは事実ですが…タイヤサイズはあまり…。
4stと言えど125ccの重さ(110~115kg程度)であれば、足付きは悪くてもそんなに気にならないかなぁ…という感じです。
更にマニアックトークをすると、エンジンに関しても基本的にはKLX140Lを流用しているようですね。
しかしながら北米と日本では排ガス規制が違い、更にはKLX140Lはミニモトクロッサーであり公道モデルでは無いので…色々と変更が入っています。
大きな違いはキャブがFIに変更されていることと、更にはクラッチプレートの静寂性向上、4速のギア比を変更。
これにより排ガス規制だけでなく、非常に厳しい平成13年騒音規制をクリアしたとのこと。
そういう面があるため、騒音規制の数値が違う欧州仕様ではちょっぴり出力が高いとかなんとか。
そしてKLXと言えば!兄弟車であるD-TRACKERでしょう。
今回は主役では無いので深くは掘り下げませんが、KLX125と同時にDトラッカー125も登場。
Dトラとか略されることが多いD-TRACKERですが、小さなDトラということで…愛称は「小虎」というのが定着しています。(自分の周りだけ?)
小虎こと D-TRACKER
出典:BikeBros.
2012年モデルでシート形状の変更などがありましたが、基本的にはその後も大きな変更は無し。
カラーチェンジのみの変更で2016年までの約7年間販売されました。
(小虎は2015年モデルまで)
ライバル不在の状況で生まれ、唯一無二の存在としてそれなりに販売台数はあったようです。
しかしながらオフ車ブームが去ったこともあり、他社からライバル車が導入されることもなく…2016年の排ガス規制の関係で生涯を終えることとなりました。
2010年代後半頃からはアウトドアブームがあり、CT125ハンターカブなどが物凄く売れましたよね。
この流れでデュアルパーパスモデルが増えるかと思ったのですが…2020年代になっても原付2種のオフ車は(国内メーカーは)絶滅状態です。
思い出話
そんなKLX125ですが、一時期結構真剣に購入を考えたことがあります。
時は2015年頃、まだギリギリでKLX125が新車で販売されていた時代です。
当時、全く興味が無かったハズなのにオフ車が気になり始めていたんですね。
一回も乗ったことが無いからこそ気になっていたのか、全く違った環境を求めていたのか…?
それはともかくとして、予算や保険…更には置き場所の問題から125ccで検討。
当時は長く乗るかわからなかったので、短期間ならファミリーバイク特約が安いこと…125cc以下ならアパートの自転車置き場に置けるというのが理由でした。
まぁ元々小排気量車が好きってのもありますが。
125ccとなると4stは走らないから2stだろう。
となるとホンダはMTX125R…はさすがに年式が古いし、ヤマハはDT125R…なんだけどカッコ悪いし…。
スズキはTS125Rだけど…RG125Γに乗ってた人間とすると自爆装置がなぁ…といった状態。
カワサキはKDX125SR…もカッコ良くは無いよなぁ。
と言うか当時のオフ車って90年代後半なのに、デザインがなんだか80年代のまま止まってないです?
オフ車に興味が無かったので80年代、90年代、00年代とデザインの移り変わりもわからないですけど…。
とまぁなんだかんだ理由を付けたけど、1番の理由は「2stは既にプレミアがついて高過ぎた」から。
もちろんピンキリで安いのもあるんですけど、程度の割に値段が物凄く高かった。
4stとなるとホンダのXLR125Rやスズキのジェベルになるんだけど…XLRはやっぱり見た目が好きになれず。
ジェベルはあの丸目スタイルが大好物なのですが…タマがとにかく無かった。
じゃあミニサイズだけどKLX125の中古を探すかぁ…となって結構頑張って探していました。
しかし残念ながら価格と程度で満足できるものが無く、2016年で生産終了となることが発表。
中古も結構高いし…いっそのことファイナルエディションを新車で買うかと思いつつも…34万8,840円というお金は用意できず…。
そういえば250と違って「ファイナルエディション」という名前は付かなかったような気も?
バイクが必要ってわけでもなかったので、無理して買わなかった…いや買えなかったのですが、その後もなんとなく中古車市場は見ていました。
生産終了となったこともあり、他に程度の良い125オフが無かったこともあり…KLX125の中古価格は強気だった印象があります。
結果として2019年にXTZ125を購入したことで、KLX125には縁が無かったということになりました。
…だってXTZ125って当時新車で20万円程度だよ?
当時20万円じゃかなりポンコツなKLX125しか買えなかったので…。
お金の問題は大きかった…と言うかほぼそれが全てですが、やっぱりタイヤサイズも気になったのは事実。
これまでにオフ車歴があれば逆に気にならなかったのかもしれないですが、乗ったことが無いからこそオーソドックスなフルサイズに乗りたかった…というのはあった気がします。
XTZ125に乗った今だからこそ、KLX125には乗ってみたいなぁ。