日本で最初にオートバイが誕生したのは1909年だそうです。
それがやがて世界一と言っても過言ではないオートバイ大国となり、数多くの名車・珍車を生み出してきました。
そんな名車や珍車の中でも原付一種、原付二種に絞って、個人的な思い出話なども含めて好き勝手語っていきたいと思います。
今回は1982年に登場した、ジャイロXです。
ホンダ ジャイロXの話
まえがき
今回紹介するのは、1982年10月に登場したホンダのジャイロXです。
ピザ屋を筆頭に宅配サービスで使われているアレですね。
ホンダを代表するスリーターの3兄弟の長兄?であるジャイロXを紹介します。
シリーズ初の現行車(2024年3月現在)であり、大きく見た目も変わっていないことから幅広い世代で知っている方が多いでしょう。
ホンダを代表するスリーター…と書いたように、ちょっと珍しい3輪のバイクということもあって記憶にも残りやすいかも?
知っている方は知っていると思いますが…ジャイロシリーズは3兄弟となっており、今回紹介するのがスタンダードと言えるジャイロXです。
他には積載により特化したジャイロUPと、屋根が特徴のジャイロキャノピーですね。
兄弟車 ジャイロUP
出典:本田技研工業株式会社
同じく兄弟車 ジャイロキャノピー
出典:本田技研工業株式会社
さてさてそんなホンダの3輪バイクと言えば!のジャイロですが、実はホンダ初のスリーターではありません。
スリーターシリーズの第1号は、1981年に登場したストリーム。
スリーター第1号はこの人! ストリーム
出典:BikeBros.
「ストリーム」と聞いた時にパッと思い浮かぶのは…普通の人は車の方でしょう。
バイクが浮かんだ方はよっぽどのマニアか…ひねくれものか。
ちなみに車の方は2000年に登場となっており、ストリームに限らず過去のバイクの名前を復活させて車に使う…というのがホンダは多い。
ビートとかトゥデイとかジェイドとか…。
それはさておきバイクの良いところと車の良いところを融合するべく開発されたスリーターであり、当時としては(今でもか?)斬新なマシンだったことは間違いないでしょう。
独特の機構によりリアの2輪は常にしっかりと設置しつつも、バイクらしい車体を傾けて曲がる…というのが最大の特徴。
トライクとは違い、バイクらしさがより強い…のが特徴と言えるでしょうか?
そんな新しい乗り物、スリーターの第2段として登場したのが今回の主役であるジャイロXです。
ちなみに第3弾はジョイ、第4弾はジャスト、第5弾はロードフォックスと…知っている人の方が少ない車種が続きます。
そして第6弾にジャイロUPが来て、第7弾にジャイロキャノピーと続くのです。
今回の主役 ジャイロX
出典:本田技研工業株式会社
本題
さてさてそんなスリーターシリーズの第2段として、ストリームから遅れること約1年後にジャイロXが登場。
3輪…という斬新なスタイルを除けば、まぁ普通のスクーターと言えるであろうストリーム。
その第2段として登場したジャイロXは、当初はなんとオフロード向けの車体として販売されたのです。
なんと言っても車名の「ジャイロ」は英語で「GYRO」と書き、Great Yours Recreational Originalの略。
ホンダのプレスリリースによると、「優れた多目的性をもつ(仕事からレジャーまで)独特の乗りもの」となっています。
更には「これから次々と楽しい使い方が生まれてくる可能性を秘めている=未知数x=もの」の意味合いでジャイロXだそうです。
ここまでだとレジャー向けのバイク…っぽい謳い文句ですが、プレスリリースには「不整地や雪道で頼もしさを発揮する走破力」という文字も踊り、オフロードを意識したモデルとなっています。
レジャー、オフロード向けということが理由か、当初はカラーリングも赤1色のみ!
翌1983年にはフロントタイヤを8インチから10インチに拡大し、更にはサスストロークも長くして走破性を向上させています。
この時にフロントにもキャリアが装備されたのが運命の分かれ道となったか?
1989年のモデルチェンジでは「多目的に使えるレジャースリーター」にキャッチコピーが変更。
1993年には「多目的スリーター」、1999年にはついに「3輪ビジネスバイク」となるのです。
この間にも細々としたマイナーチェンジは行われましたが…2002年まで話を進めて、この年に簡略版のベーシックが登場。
ベーシックはウインドシールドとリヤキャリアが廃止されたのが特徴となっており、従来のものはスタンダードというグレードになりましたね。
廉価盤 ジャイロXベーシック
出典:本田技研工業株式会社
そして2008年に大きな大きな仕様変更が行われ、排ガス規制に合わせて2ストだったエンジンを4ストに変更。
これによってTD01という方式がTD02に変わります。
(最も簡単な見分け方はフロントホイールの形状)
そして2017年にも排ガス規制対応のためにマイナーチェンジが行われ、2024年3月現在も販売が続いているという超ロングセラー商品となっています。
4ストに変更 ジャイロXスタンダード
出典:本田技研工業株式会社
ちなみに2021年にはジャイロ e:と呼ばれる電動モデルも登場。
2019年に登場したベンリィ e:の後ろ側を三輪にした…ようなモデルですね。
電動ジャイロ ジャイロe:
出典:本田技研工業株式会社
思い出話
そんなジャイロXですが、友人が乗っていました。
多分ジャイロUPじゃなくてジャイロXだったと思うんだよなぁ…。
もちろん?個人所有ではなく、バイト先の車両でしたが。
現在も存在する宅配寿司の有名店でバイトをしていた友人で、デリバリーのためにジャイロXで走り回っていたんですね。
この人…ちょくちょくデリバリーの帰りに寄り道をして、自分達が溜まり場としていた先輩宅に顔を出していました。
当時は緩かったのか…はたまたその会社が緩かったのか、その友人に物凄く信用があったのか…。
更にはなんか休日にもジャイロXを乗り回していたような記憶が…。
確か自分のバイクも持っていたと思うのですが、なんだかいつでもジャイロXで現れる人でしたね。
さすがにツーリングなどの遠出では見ませんでしたが…。
そうそうジャイロXは発売当初は赤しかなかったと書きましたが、その後には黒と白が追加されています。
そして確か青ってのもあったかと思いますが、その後は白のみという時期が長いようで。
2002年頃から現在と同じように、白と赤の2色展開になったようですね。
しかし…自分は白しか見た事が無い…。
販売期間を考えると黒と青はともかく、赤はそれなりの台数いると思うんですけどねぇ…。
現在もほぼ変わらぬ見た目で走っているだけに、見かけると若かりし頃を思い出したり出さなかったり。
でも自分の周辺のデリバリーバイクって、ジャイロXよりもジャイロキャノピーの方が圧倒的に多い気がする。