日本で最初にオートバイが誕生したのは1909年だそうです。
それがやがて世界一と言っても過言ではないオートバイ大国となり、数多くの名車・珍車を生み出してきました。
そんな名車や珍車の中でも原付一種、原付二種に絞って、個人的な思い出話なども含めて好き勝手語っていきたいと思います。
今回は1997年に登場した、ストリートマジックです。
スズキ ストリートマジックの話
まえがき
時は1997年の2月、スズキから変態な…あ、いや違ったちょっと変わったバイクが発売されました。
そう、それこそが今回の主役であるストリートマジック。
CA1LAという型式よりもTR50と言った方が伝わるか…むしろストマジと言った方が伝わるか。
ちなみに正式名称は上記の通りに「ストリートマジック」ですが、排気量違いがあるためにこの記事では便宜上「ストリートマジック50」とします。
変態スズキらしさ全開! ストリートマジック出典:BikeBros.
さてさて何が変わっていたのかというと、バイクをよく知らない人から見れば普通のバイクに見える…という部分。
普通のバイクってなんやねん、って感じではありますが…要は「スクーターではない」と取ってもらえれば良いかと。
しかしながら見る人が見れば、どこからどう見てもスクーターのパワーユニットをスポーツバイク風のフレームに積み込んだモデル。
当時としては類を見ない、まさに画期的なスズキらしいバイクだったのです。
…当時としては…と言うか今でも他に浮かばないけどね。
パッと思い浮かぶのはインドホンダのNAVI110くらい?
結構売れたと思うのですが…他社は追従しませんでしたね。
あまりにも独創的?なモデルのため、まえがきとして他の車種などと絡めて書くネタがありません。
そのため今回はストマジの特徴をちょろっとここで紹介。
最大の特徴は、さっき書いた通りにスクーターのパワーユニットをスポーツバイクのフレームに突っ込んだというところ。
そのためリアサスはスクーターと同じくユニットスイング。
もちろんVベルト式の無段階変速であり、今風に言えばCVTです。
しかしながらパイプを使ったツインチューブフレームは、一般的なスクーターよりも遥かに高剛性。
更にはフロントサスペンションは一般的なスクーターのアンダーブラケットのみタイプではなく、普通のバイクと同じくアッパーブラケットも持つタイプ。
これ…それぞれ名前無いのかなぁ?
まぁとにもかくにもスクーターに比べてフロントのステム周りの剛性が高い…ということ。
昨今で言うと、クロスカブとハンターカブのフロント周りの違いと同じ。
このように普通のバイクとスクーターの良いとこどりとも言えるモデルがストマジだったのです。
スズキとしては一応スクーターの扱いだったようで、ジャンルとしてはスクーターに分類されていました。
上記のようにスクーターながら車体の剛性が非常に高かったこともあり、ミニバイクレースでもかなりの人気車種に。
NSR50などのMT車の他、DioやJOGなんかに混じって走っているどころか…なんとワンメイクレースも開催されていたようで。
見た目としてはいわゆるスーパーモタード系。
大昔のアメリカで言うところのスーパーバイカーズというジャンルと言え、原付でこのスタイルとなったのはカワサキのKS-1が最初でしょうか?
このクラスでは初?のスーパーバイカーズ KS-1
出典:BikeBros.
KS-1と言えば後継モデルとして水冷式になったKSR-1が登場。
そしてKSR-1の後継モデル(正確にはKSR-2かもですが)としてKSR110が登場。
KSR110からはクラッチレスとなりAT限定免許でも乗れるマシンとなりましたが、ストマジとは違いCVTではなく自動遠心クラッチの4速。
要はスーパーカブと一緒ですね。
海外では4速MTのKSR110 PROが存在し、それが巡り巡ってZ125 PROとなって日本に戻ってくるのですが…それはまた別の話。
話をストリートマジックに戻したいと思いますが、まえがきとして語ることは無いので本題で続きをいきましょう。
本題
さてさてそんなストリートマジックですが、先ほど書いたように登場は1997年2月。
便宜上再びストリートマジック50と書きますが、この時に同時にストリートマジック50Sも登場しました。
TR50SとされたストマジSは、いわゆる上位モデル…高級モデルといった位置付け。
ホイールがアルミ製に変更され(しかもエンケイ製!)、サスペンションは前後共に強化。
リアサスペンションに至ってはリザーバータンク付き!
更にはタイヤサイズが前後ともワンサイズ太いものになっています。
いやぁ…これ調べるまで知らんかったです。
高級仕様車 ストリートマジックS
出典:BikeBros.
まえがきでも書きましたが、スクーターながら普通のバイクと同じようなフレームを持ったことで高剛性に。
更には空冷ながらも、50ccクラスの馬力規制上限となる7.2psを発揮する2stエンジン。
アドレスやセピアなど、当時のスズキの主力2st原付エンジンということでチューニングパーツも豊富だったことも人気の要因の1つだったでしょうか?
とにもかくにも車名であるストリートマジックに恥じない、かなりのスポーツバイクとなりました。
あ、ちなみにストリートマジックというのは「ストリート」の「イエローマジック」ですね。
イエローマジックと言うのは、スズキのモトクロスのキャッチコピーです。
しかしながら…モタードスタイルだからか?なぜかチャンピオンイエローのカラーは設定されず…。
そして遅れること半年、1997年6月にはストリートマジック50Ⅱが登場。
こちらは先ほどのストマジ50Sをベースに、オフロード風のアレンジが加えられたモデル。
ブロックパターンのタイヤに、フロントアップフェンダー、更にはパイプガードが付いた丸型のヘッドライトなどが採用されています。
そうだ、これ実はフロントのディスクにカバーが付いているんですよね。
かなりオフ車風に変化したストマジ2では、やはり象徴とも言えるチャンピオンイエローが設定。
名称こそマーブルサイエンスイエローNo.3ですが、色味はまさにモトクロスの黄色そのもの。
ストマジと聞いてこっちが浮かぶ? ストリートマジックⅡ
出典:BikeBros.
そしてひたすら50、50と書いてきた意味は…既にご存知かと思いますが、翌1998年の6月にストリートマジック110Ⅱ(TR110SD)が登場するから。
110cc版は後発となったオフ車風のストマジⅡからラインナップされました。
車体は流用ながらも、エンジンハンガーが延長されたことでホイールベースが延長されているのも特徴。
搭載エンジンはアドレス110がベースとなっています。
シートのSUZUKIロゴがカッコいい! ストリートマジック110Ⅱ
出典:BikeBros.
そして遅れること2ヶ月、1998年8月にストマジ50Sの110版とも言えるストリートマジック110(TR110S)が登場しますが…110には無印が無かったこともありSは付きませんでしたね。
そうそう車体が50と共通だからか、スポーツスクーターという立ち位置のためか…110も1人乗り専用車だったのも特徴です。
排気量的にはタンデム可能でしたが、乗車定員が1名となっているために…タンデム不可の車両だったんですよね。
「S」は付かないけど高級仕様 ストリートマジック110
出典:BikeBros.
と、このように排気量違いで合計5モデルが販売されるものの…ストリートマジック50Ⅱを除く4モデルはわずか1代限りの短命となってしまいます。
比較的売れたのではないかと思うので…原因は排ガス規制だったでしょうかね?
2000年7月にストリートマジック50Ⅱは排ガス規制対応のため、モデルチェンジを行います。
マフラーには触媒が追加され、キャブのセッティングなどが変更されたことで規制に対応。
しかし、これだけでなく細かな部分にも改良が加えられており、例えばシートが厚くなって乗り心地が向上しています。
2003年と2005年にカラー変更が行われ、2006年11月に新たな排ガス規制のために生産終了。
唯一生き残ったストマジ50Ⅱは約9年という、兄弟たちに比べれば遥かに長いモデルライフとなりました。
登場時の「オレマジ、ストマジ」というキャッチコピーと、TOKIOの長瀬智也さんを記憶している方も多いのでは?
そして1998年に放送された月9のDaysでは、しっかりと長瀬智也さん演じる矢部鉄哉がストマジに乗っていました。
110はともかくとして、50の方は当時としてもかなり売れた車種と言って良いでしょう。
ですが…今こそアドレス125のエンジン使ってストリートマジック125を登場させたら売れるんじゃないでしょうかね?
思い出話
それなりに売れた…とは言っても、なぜか自分の周りに乗っている人はいなかったですね。
まぁねぇ…敢えて選ぶバイクでも無かった…というのかも?
自分がバイクに乗り始めた高校生の頃はと言えば、移動の足として便利なスクーターを選ぶタイプの人間と、バイクが好きでMT車を買う人間の2タイプ。
前者は当時ですとDio ZXが人気車種だったかな?
後者はNS-1が人気車種でした。
高校生の坊主共には…なかなかストリートマジックの良さというのは理解できなかったでしょう。
仲間内でスズ菌感染者が1人いましたが、彼の口からも名前が出てきたことは無かったような…?
街中に目を移せば…走っていたハズなのでしょうが、全くと言って良いほど記憶にございません。
今でこそXTZ125なんて乗っている自分ですが、当時としてはオフ車なんてアウトオブ眼中。
モタードなんてありえない!っていう偏見の塊のような人間でした。
それもあって、目には入っていても記憶には残っていないんじゃないかと。
見方が変わったのは社会人になってからで、このブログでもプロフィールで書きましたがなぜかオフ車ブームが自分の中できました。
理由は全く不明ですが。
その当時でもストマジは頭の中に浮かんでいませんでしたが、ある日突然会社の人がストマジⅡで通勤。
ストマジではなくオフ車色の強いストマジⅡだったことが良かったのか…チャンピオンイエローがカッコよく見えたのか、「あぁストマジってあったな。こんなカッコ良かったんだ」という感じ。
ちなみにその会社にはそれほどバイク好きという人間がいなかったこともあり、自分以外誰もが「このバイクなに?」でした。
更にちなみに…その乗ってきた人は重度のスズ菌感染者です。
ハイ、これはもう間違いの無い。
通勤にバイクが便利かなと思って…スズキで探したんだけど、普通のスクーターじゃ面白くないかなって…とは本人の談。
そんなことを考えるのはスズ菌感染者意外におりません。
でも何回かしか乗ってこなかったなぁ…機会があれば乗ってみたかったのですが…。