日本で最初にオートバイが誕生したのは1909年だそうです。
それがやがて世界一と言っても過言ではないオートバイ大国となり、数多くの名車・珍車を生み出してきました。
そんな名車や珍車の中でも原付一種、原付二種に絞って、個人的な思い出話なども含めて好き勝手語っていきたいと思います。
今回は2001年に登場した、エイプです。
ホンダ エイプの話
まえがき
時は1990年代前半、80年代のHY戦争に象徴されるバイクブームも縮小し…更には世界的な不況の影響もありバイクの出荷台数が落ち込んだ時代。
これは1990年代後半になっても回復するどころか、緩やかに下降線を描いていました。
そんな頃、若者達を中心にスカチューンと呼ばれるストリート系カスタムが流行。
テレビドラマでキムタクがTW200に乗っていたのを覚えている方も多いのではないでしょうか?
2001年モデル TW200
出典:BikeBros.
バイクがバイクとしてではなく、生活の一部とでも言うのでしょうかね?
ライフスタイルに溶け込んだ…とでも言うのか、とにもかくにも今までの速さを追い求めたレーサーレプリカブームや、それに疲れたネイキッドブームとは明らかに毛色の違う流行。
「ライダー」に対して「バイカー」なんて言葉も作られましたね。
若者たちのストリートカルチャーの一部にバイクが入り、この頃にはスカチューンの他にもビグスクブームが起こります。
しかしながらこのスカチューンの主役は先ほど紹介したようにTWとなっており、ビッグスクーターもマジェスティが多く、ヤマハが強いといった状況。
そんな時期にホンダが危機感を覚えて立ち上げたのがNプロジェクトです。
Nプロジェクトは2000年に発足し、20代を中心とした若いメンバーが主体となったプロジェクト。
当時ホンダがヤマハに対して遅れを取っていた「若者文化としてのバイク」というものに本格的に取り組むことに。
ちなみにそのNプロの前身とも言える、若者文化を研究して作られたのがFTR(223の方ね)だったりします。
ストリートカスタムブームで蘇り FTR223
出典:BikeBros.
そんなNプロが2000年に発足し、第一弾として2001年に登場したのが今回の主役であるエイプです。
わずか1年足らずの期間で販売となっていますが、これはNプロジェクトが発足する以前から検討が進められていたから…というのも事実。
自分でいじくり倒せる原付が減ってきており、スクーターばかりになっていた時代であり…昔のような50ccの楽しさをもう一度という意図もあったようです。
その辺りが若者のカスタムブームともマッチしたと言えるのかもですね。
今回の主役 Ape50
出典:BikeBros.
本題
さてさてそんなエイプですが2001年2月に発売され、当時の価格は19万9,000円!
この価格は開発を行ったNプロジェクトの若手達が「自分達で買う」ことを考えた値段とも言われています。
この価格を実現するために、かなりコストカットした努力が見られるのも特徴ですね。
例えばガソリンタンクはCD50の流用ですし、ヘッドライトのケースはモンキーの流用。
エンジンもXR80Rがベースとなっており、これは遡れば1978年となる非常に歴史のあるエンジンです。
フレームに関してもベースはXR80Rと言え、足回りもタイヤサイズは違うものの…基本的にはXR80Rがベースと言えます。
更にはユーザーが自分好みでカスタムすることが前提で考えられていたために、マフラーは鉄製の黒一色のもの。
マフラーなんて最初に交換するもの…ですからね。
外装の樹脂パーツもコスト削減のために着色樹脂が使われており、タンク以外は未塗装でした。
ちなみに所説あるものの、エイプという名称は一応公式では「人間に最も近い類人猿」「気軽に乗れる身近なバイク」となっています。
マニアの間では横型エンジン搭載のモンキーに対して、縦型エンジンのエイプということで…「モンキーが立ってエイプになった」と言われていますね。
販売開始時の年間販売計画では5,000台だったそうですが、わずか2ヶ月でコレを達成。
最終的には50ccだけで約7万5,000台を出荷する超ヒット作となりました。
翌2002年には排気量アップ版とも言えるエイプ100が登場。
基本的にはエンジン違いではあるものの、タンデムが可能になるためシートが変更されタンデムステップが追加されています。
タンデムベルトとステップで見分ける エイプ100
出典:BikeBros.
ヒット作品となったためにデラックスやスペシャルなどのモデルも作られ、中身ではなく外装関係を主としたマイナーチェンジが繰り返されます。
そして2007年に排ガス規制対応のためキャブからFIに変更。
それに伴い型式もAC16に変更されましたが、100ccモデルはキャブのまま変更はありませんでした。
2008年には前後にディスクブレーキを搭載したTypeDが登場。
なぜかは不明ですがTypeDの発売はわずかに100の方が50よりも早かったですね。
わずか2ヶ月程度ですが…。
ちなみにTypeDは型式も変更され、50がAC18となり100がHC13です。
これと同時に排ガス規制への対応も行われ、ドラムブレーキの方もマイナーチェンジ。
大きな変更点としてはエキゾーストパイプに三元触媒が追加されています。
(マフラーの途中にタイコ状の膨らみがあるのが特徴)
その後は50ccはこの2008年モデルが継続生産。
100ccの方は2009年にマイナーチェンジされますが、2016年に施行された排ガス規制により…100が2016年に、50は2017年に生産終了となりました。
最終2009年モデル エイプ100タイプD
出典:BikeBros.
思い出話
そんなエイプですが、現在も100の方を所有しています。
サーキットを走ってみたいと思い、ミニバイクを探していた2010年代前半に購入。
当時は既にHRCからNSF100が発売されており、まだまだ2st50ccも現役で走っていたものの…これから購入するには…という状態でした。
NSR50とかはプレミアが既に付いており、TZMとかはタマが無くて…という感じですね。
かと言ってNSF100は公道走れない&とても購入出来るお値段ではない。
なんとなく12インチに乗ってみたかったこともあり、エイプを探して購入。
エイプも既に価格高騰が始まっていた印象もありますが、他に手頃な車両も無かったと言えます。
自分が購入したのはドラムブレーキのエイプ100でした。
もう詳細は忘れましたがTypeDだったかXR100モタードだったか…どちらかのフロント周りをオークションで購入しディスク化。
確かフロントフォークの長さが違うんですよね。
XR100モタードのフォークを入れて突き出し増やして調整したんだっけな?
リアはスイングアームにアダプターをかませてディスク化。
ホイールはNSR50の前期型をオークションで購入しています。
そのためフロントホイールは6本スポークでリアが3本スポークというちぐはぐ仕様。
お金が無いので細かいことは気にするな状態です。
数度ミニサーキットを走らせたものの…昨今の世の中の情勢か、サーキットと言えど騒音苦情からは逃れられず。
純正マフラー相当の音量で無いと走らせられないようになってしまい…それ以降は走らせておりません。
それ以外にもミニサーキットと言えど、金銭面での負担が大きかったというのもあります。
トランポを持っていない人間には厳しい世界でした…。
そして何をやるにしても仲間って大事ですね…ぼっちの自分には厳しい世界だ…。
そんなこんなでアパートの駐輪場に置いてありましたが、ある時に盗難にあってしまいます。
数ヶ月後に警察から電話がかかってきてバイクは返ってきたものの、派手に転倒したのか右サイドがガリガリの状態に…。
結局犯人は捕まらず泣き寝入り状態となっています。
盗難の際にキーシリンダーもこじられていますので、このままでは売るに売れない状態とも言え…なんだかんだと現在まで保有したまま。
もし欲しい方がいれば要相談ですが、個人的にまた復活させたいという思いもあったり。
しかし…先立つものが無いんですな。
二度と盗まれないように厳重に包み込んでしまったため…現在の写真を撮るのは面倒なので…。
探したら前後足回りを移植した辺りでの写真が出てきました。
(サーキット走行用にアンダーカウル装着や、盗難後の補修対応などで現在とは多少仕様が違います)