【名車珍車紹介】スズキ ギャグ〈LA41A〉を好き勝手語る

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日本で最初にオートバイが誕生したのは1909年だそうです。

それがやがて世界一と言っても過言ではないオートバイ大国となり、数多くの名車・珍車を生み出してきました。

そんな名車や珍車の中でも原付一種、原付二種に絞って、個人的な思い出話なども含めて好き勝手語っていきたいと思います。

今回は1986年に登場した、ギャグです。

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スズキ ギャグの話

まえがき

1986年、他社に先駆けて発売されたミニサイズレーサーレプリカです。

恐らくスズキとしては…そのつもりは無かったものの、後のミニバイクというジャンルを作り上げるきっかけとなり…結果的には置いてきぼりとなった迷車…あ、いや名車ですね。

名車であり迷車でもある ギャグ

出典:BikeBros.

1986年という時代はまだまだレース熱が熱く、市販車でもレーサーレプリカを始めとして各社で性能争いをしていた時代。

そんな中でスズキとしてはあくまでもGSX-R風の、なんちゃってバイクを作った…ハズなんですよ。

だって車名もギャグなんだから。

もちろん車体は真面目に作られていますが、ビジバイであるバーディ50のエンジンをチョイスしていたりと決して走りには特化していない造り。

ところがどっこい、それでも当時の原付としてはなかなかに充実した装備をしていたことも事実であり…このスタイルを見たら走りたくなるのも事実であり…。

ヨシムラなどを中心に数多くのチューニングパーツが登場。

ワンメイクレースなども開催され、(恐らくスズキとしては予想外に)ミニバイクレースというジャンルを作り上げてしまったようです。

昔から50ccのレースはありましたが…今でいうところのフルサイズというのが定番。

12インチ(ギャグは10インチだけど)のミニバイクというジャンルは、それまでは無かったor一般的では無かったらしいですね。

もう自分の妄想ばかりで話を進めて申し訳ないのですが…恐らくスズキはモンキーやダックスを意識して作ったのではないかと…。

それに、当時人気のあったレーサースタイルのガワを被せたら面白いんじゃね?的なノリ。

だから繰り返しますが、名前もギャグなんじゃないかと。

ところが…まだジョークの範疇と言えたヤマハのYSR50が直後に登場。

走行性能では2stのYSR50の方が優位ではありましたが、まぁまだ仲良く遊べる範疇だったのです。

まだ笑い事で済んだ時期 YSR50

出典:BikeBros.

しかしこのジャンルが育つにつれ…そういつも後からやってきて根こそぎ持っていくのがホンダ。

もはや本気度100%のNSR50がぶっこまれ、それに対抗する形でヤマハもTZM50Rを投入。

根こそぎ持っていったヤツ NSR50

出典:BikeBros.

時代としては既にHY戦争は終わっていたものの、業界1位と2位の熾烈な戦いはこのミニバイククラスでも繰り広げられることとなります。

そう今話題にでたHY戦争に関して…スズキの鈴木修社長(当時)は「ライオンとゾウの闘いに、アリが巻き込まれた」と語っており…その反省を活かしてかこの頃(NSRとTZMが闘った1990年頃)は追従せず。

結果としてギャグはわずか2年という短いモデルライフとなり…後継モデルどころか仕様変更さえ行われることなく生産終了となりました。

きっとギャグを企画・開発したスズキとしては…どうしてこんなことになったのか…という心境だったのではないでしょうか?

え?後継モデルはGS50?

確かにあれはバーディのエンジンがベースですからね。

GS50の話はまた別の機会に…。

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本題

さて、そんな悲運の名車?ギャグですが…現在ではなんだかちょっとかわいそうなバイクというイメージがあるのではないでしょうか?

それもそのはず、紹介したように遊び心で出したバイクなのに…後からYSRだNSRだTZMだと出てきて…。

一部の人たちには遅くてどうしようもないミニバイク…なんて評価も受けているとかいないとか。

そうじゃない、そういう生い立ちじゃないんだギャグは!と言ったところで…といった状態。

ただし一部の菌感染者の方々からは熱い支持を受けているのも事実です。

さてさて1986年に登場したギャグですが、自社製品であるGSX-Rのパロディであることは既に語った通り。

個人的にはライトが丸目じゃなくて角目の1灯で…GSX-Rじゃなくてガンマじゃねぇかとか思ったり思わなかったり。

こっちの方が似てない? RG500Γ

出典:BikeBros.

とは言えメーカーとしてはGSX-Rのパロディ。

アンダーカウルにはしっかりと「R」の文字が描かれており、サイドカウルには「SACS」の文字が踊ります。

市販車初の油冷エンジン搭載 GSX-R750

出典:BikeBros.

このSACSというのはスズキの油冷用の冷却システム、Suzuki Advanced Cooling Systemの頭文字を取ったもの。

1985年に登場したGSX-R750に採用されている機構で、この辺りからもギャグはガンマではなくGSX-Rがモチーフなのがわかると言ったところ。

ところが肝心のこのギャグ…実はというほどのこともなく、当然のように空冷であって油冷ではありません。

はてはてSACSとは何だったのか…と思って再びサイドカウルをよく見ると、Suzuki ADVANCED COMICAL SYSTEMと書いてあるではありませんか。

まさにスズキの開発陣のギャグであり、遊びゴコロでありました。

そう、このバイクのキャッチコピーは「遊びゴコロをフルカウル」です。

デザインとしては素晴らしく、実に上手いことGSX-Rをこのサイズに落とし込んでいると思います。(だがライト、テメェはダメだ)

細部を見ればフレームはダブルクレードルではなく、ダブルクレードル…っぽく見えるデザインのバックボーン。

とは言えアンダーカウルで隠れて見えないので、非常に上手くまとめていると思います。

このアンダーカウルを外してみると…バーディのエンジンなので当然横型。

RG50Γのエンジンとかもあったわけで、当時のスズキもミニレーサーを作ろうと思えば作ることはできたハズ。

しかし敢えてバーディのエンジンを載せる辺りが、このバイクはレジャーバイクでありファッションバイクという位置付けを表していますよね。

だからジャンルとしては異なるかもしれませんが、先ほど書いたようにスズキとしてはモンキーとかの立ち位置のつもりだったのでは?と思ってしまいます。

新たなジャンルを開拓した名車ではありますが、ある意味では予想していなかったジャンルを切り開いてしまったことで短命に終わった迷車…だったのかもしれません。

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思い出話

なんて長々とギャグに付いて好き勝手語ってきましたが、実は自分…実車を見たことがありません。

自分がバイクに乗り始めた時期には既に超の付く稀少車だったんですよね。

今とは違ってインターネットも(あったけど)無いに等しく、中古バイクを買おうと思ったらまず行く先はバイク屋ではなく本屋。

今でも中古車を探す時にGooBikeを使う方も多いと思いますが、昔はネットではなく本を読んでバイクを探していたんですよね。

記憶が定かではないものの…確か1冊で日本全国が載っているかなり厚い本だったかと。

そんな分厚い本を以てしても、ギャグは載っていても1台とか2台とか…そういう世界。

既に価格的にもプレミアがついていたようにも記憶しています。

お金のない高校生が敢えてそんなバイクを買うなんてこともなく、自分の周囲でギャグを持っていた…どころか実車を見たことがある人間はいなかったのでは?

更に言えば自分の周囲にはスズ菌感染者が…あぁいたなぁ。

2人ほどいましたが、1人はVガンマに乗っており、もう1人は「俺はGS50を買う!」と言っていた感染者でした。

Vガンはともかく…敢えてGS50を買おうとしているのは…立派な感染者でしょう。

そう言えば群馬県の榛名モータースポーツランドで開催されている、青木ノブアツ杯というミニバイクレースではGAGクラスというものがあるのです。

大会名からわかるように…元スズキのGPライダーであり、MotoGPの開発ライダーでもあり、2022年に現役引退した青木宣篤さんが主催のレースですね。

2023年の開幕戦のエントリーリストでは…なんと10台ものギャグが確認できます。

いったいこれは日本全国の現存するギャグの何%が集まっているのか…。

機会があれば是非とも見学に行きたいと思います。

他にもGSX-R125のクラスがあったりと、さすが元スズキのライダーと言わんばかりのスズキファンには嬉しい催しです。

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