日本で最初にオートバイが誕生したのは1909年だそうです。
それがやがて世界一と言っても過言ではないオートバイ大国となり、数多くの名車・珍車を生み出してきました。
そんな名車や珍車の中でも原付一種、原付二種に絞って、個人的な思い出話なども含めて好き勝手語っていきたいと思います。
今回は2005年に登場した、GS50です。
スズキ GS50の話
まえがき
今回紹介するのは、2005年2月に登場したスズキのエントリーマシンことGS50です。
スズキにおける入門用バイク…という立ち位置で出てきたのですが、個人的には突如降ってわいたバイクという印象が強かったりします。
いつもはこの「まえがき」という名の下に、取り上げる主役のバイクの系譜と言いますか…そこに至るまでを好き勝手に書いていますが…今回何書こう?って感じですね。
エンジンはビジネスバイクであるバーディー系の横型がベースとなっており、そういった意味ではGAGの後継モデルと言っても良いかも?
ギャグに関しては別記事が詳しいのでそちらに譲りますが…まぁ未知の扉を開いてしまいHY戦争に巻き込まれたヤツです。
このまま前書きを終えるのも寂しいものがあるので、簡単にベースエンジンとなったバーディーについて見ていきましょう。
遡っていくと1958年のスズモペットSM1まで行ってしまうので、1973年に登場したバーディー50から始めましょう。
スーパーフリーF50の後継モデルとして登場したのがバーディー50です。
車名も変更されたものの、実質のところはスーパーフリーF50の改良版と捉えて良さそうですね。
正常進化モデル バーディー50
出典:スズキ株式会社
初代バーディー50は2ストロークエンジンとなっており、10年後の1983年に4ストロークエンジンが追加。
「追加」と書いたように、ここからしばらく2ストと4ストが併売されることに。
そのため2サイクルバーディー、4サイクルバーディーと呼び分けるのですが…年寄りに見せると「あぁスズキのカブね」と言われます。
2ストも4ストもありません。
むしろスーパーフリーとかバーディーとかって言葉も出てきません。
もっと言うとヤマハのメイトも「あぁヤマハのカブね」と言われます。
そう、アンダーボーンのバイクはみなカブなのです。
スーパーカブって偉大ですね…。
そんなバーディー50ですが、1990年にRC50という車種が登場。
2ストのみのラインナップであり、今までのバーディー(FR50型)の上位機種という扱いで併売。
上位というだけにフロントフォークは一般的なバイクと同じテレスコピックとなっており、シリンダーヘッドは空冷ながらもクランク周りにファンを設けた強制空冷式に(ヘッドが空冷なので半強制空冷とも)なっています。
半強制空冷 RC50
出典:スズキ株式会社
しかし1993年のマイナーチェンジの際にRC50の名称は消滅し…再び2サイクルバーディー50になっています。
深堀せずにジャンジャン行きましょう。
このモデルはマイナーチェンジを受けつつ、2004年まで生産が続けられることに。
当時としてはビジネスバイクながら…貴重な2スト車という存在でもありました。
4ストバーディーの方はと言うと、先ほど書いたように1983年に登場し併売を開始。
初代4サイクル バーディー50
出典:スズキ株式会社
何度かのマイナーチェンジを行い、2004年にフルモデルチェンジを行います。
スーパーカブやメイトと大きな差別化となるテレスコピック式のサスペンションを採用したのが最大の特徴でしょうか?
その後もどんどんと厳しくなる排ガス規制に対応するべくマイナーチェンジを繰り返しましたが、ついに2017年にて生産終了となっています。
フルモデルチェンジで別人に バーディー50
出典:スズキ株式会社
で肝心のGS50なわけですが、この4ストバーディー50のエンジンをベースに登場するのですが…そこはスズキ。
しっかりとGS50専用に色々と手を入れてくるのです。
本題
ということで、ほぼ「まえがき」をバーディー50の話で終えたわけですが…2005年に今回の主役であるGS50が登場します。
バーディー系のエンジンを流用しているものの、スポーツバイクということで高回転化・高出力化。
大型バイクへのステップアップの入門車という位置付けのためか、ミッションはバーディーのロータリー式ではなく一般的なリターン式に変更されています。
しかも今更気付きましたが…バーディーって3速だったんですね。
(GS50は4速に変更されています)
今回の主役 GS50
出典:スズキ株式会社
そして後期型のバーディー50(BA42A)譲りと思われる14インチはそのままにしたことで、圧倒的な足付きの良さを手に入れています。
定番の17インチでもなく、ミニサイズになってしまう12インチでもなく、敢えての14インチが入門車両としての性格に合っていたと言えるでしょう。
え?バーディーと共通にしてコストダウンだって?
乾燥重量で69kgという軽量さも伴い、運転に不慣れな初心者でも恐怖心を抱きにくくなっています。
そうそう大型バイクのデザイン要素を取り入れた…というタンクは車体サイズに比較して大きめで8リットル。
ビジネスバイク譲りの圧倒的高燃費エンジンと共に、抜群の航続距離を誇るのも特徴でした。
この辺りも入門車両としては良いのかも?
お値段は税込で20万8,950円。
見た目は異なるものの、同じくビジバイからの派生車ということでライバル車のYB-1 Fourが当時20万0,550円です。
ベンリィ50Sが当時19万9,500円と、実はスズキらしくなく最も高価格帯でした。
とは言ってもスタイル的にライバルとなるのはエイプ50の方で、こちらは当時22万4,700円。
こう考えると絶妙な価格帯を突いてきたと言えるかも?
こうして登場したGS50ですが、この時代の原付全てが大打撃を受けた排ガス規制により…2007年に生産を終了。
わずか3年という短命なモデルライフとなってしまいました。
スズキの4ストスポーツの伝統でもある「GS」のネーミングを引っ提げて登場したバイク…として見ると何とも寂しいことに。
ちなみに現時点で過去にも現在にも、50ccでGSの名が付いたモデルはこれしかありません。
(125ccにはGS125Eがいましたね)
昨今の状況を考えると、今更50ccのニューモデルというのは現実的では無いでしょう。
しかし若干流行は去った感もありますが…ネオレトロやネオクラシックとかが流行っている今、GSXのエンジン使ってGS125が出ないかなと思ったりします。
でもあのエンジン4バルブだから…GSにはならんのか…。
思い出話
そんなGS50ですが、ある意味では自分はドンピシャの世代。
しかしながら免許取り立てやほぼ同義の、高校生や大学生世代に刺さるバイクでは無かった印象があります。
バイク好き達は「4ストは遅い!やっぱ2ストだろ」という人間が多く、NS-1やTZR50辺りが人気車種。
原付で速いも何も無いだろ…と思う方も多いとは思いますが、当時の自分達の狭い世界観ではとても大事なことでした。
金銭の都合上、原付免許しか持っていない人間も多く…原付という限られたステージ内でのバイク選びという意味では2ストと4ストは大きな差。
しかし自分達の時代は「バイクが好きだけどスピードにはあまり興味の無い層」というのも一定数いた世代。
ある意味では健全なことであり、自分達の下の代に行くにつれて増えていった印象ですね。
もちろんいつの時代にも色んな人はいるのですが、割合的な話で。
そんなスピードにはあまり興味の無いバイク乗りが選んでいたのが…やはり圧倒的にエイプ。
GS50に興味を示したのはスズ菌感染者くらいのものでした。
ベンリィとかYB-1とかは…若造にはその良さはわからず、あまり人気の無い車種と言って良かったですね。
水冷7.2ps勢には劣るものの、YB-1とかスズキのビジバイ派生のコレダスポーツとかは2ストでそこそこのパワーでしたが。
あまり関りが無かったので詳しくは知らないですが、確か学生時代の後輩が赤いGS50に乗っていたハズ。
彼曰く「新車で買えるミッション車で、エイプより安かったから」だそうです。
バイクは好きなようでマニュアル車に乗りたかったらしいのですが、父親が「中古は止めて新車にしなさい」と言ったとかなんとか。
個人的には今改めて見ても刺さらないバイクではあるのですが、好きな人は好きですよね。
GS50のワンメイクレースは結構長く行われていて、生産終了後も結構盛んにやっていた印象があります。
当時若造だった自分には魅力的に映らなかったものの、オッサンになった今思うとこういった緩いバイクでレースをやるのも面白そう。
目を三角にするのではなく、仲間内でワイワイとやるタイプのレースですね。
それが故にか、GS50のワンメイクレースは耐久レースがほとんどだったような?