日本で最初にオートバイが誕生したのは1909年だそうです。
それがやがて世界一と言っても過言ではないオートバイ大国となり、数多くの名車・珍車を生み出してきました。
そんな名車や珍車の中でも原付一種、原付二種に絞って、個人的な思い出話なども含めて好き勝手語っていきたいと思います。
今回は1991年に登場した、二代目125ccガンマことRG125Γです。
スズキ RG125Γの話
まえがき
ガンマを語るにはここまで遡る必要があるでしょう。
スズキを代表する超名車であるガンマが最初に登場したのは1983年3月。
後のレーサーレプリカブームを引き起こした存在とも言われる、RG250Γが登場します。
(初代レーレプはRZ250だろ!という話はココではしない)
偉大な名車 RG250Γ
出典:BikeBros.
市販車では初採用となるアルミフレームを持ち、当時ロードレース世界選手権(現在のMotoGP)500ccクラスに参戦していたスズキのワークスマシンRG-Γと同じガンマの名称が与えられたモデルです。
当時の若者たちは狂喜乱舞、まさに歴史が動いた瞬間だったようで。
翌1984年に50ccのRG50Γが登場。
更に翌1985年2月に弟分としてRG125Γが登場します。
(ちなみにこの年には兄貴分の400Γと500Γも登場)
NF11Fと名付けられたコイツは…残念ながら今回の主役ではありません。
今回は脇役 初代RG125Γ
出典:BikeBros.
加熱したレーサーレプリカブーム、後から参入したH社とY社のマシンの急激な進化により250ガンマもついに2代目のRGV250Γに進化。
これが1988年のことで、パラツインからVツインになった大幅なモデルチェンジでした。
初代Vガンこと RGV250Γ
出典:BikeBros.
それから遅れること3年、ついに125ガンマもフルモデルチェンジ。
この1991年には兄貴分の250Vガンマは既にマイナーチェンジでVJ22Aへと進化しており…VJ22Aに非常によく似たデザインで登場したのが今回の主役であるNF13A、2代目RG125Γです。
今回の主役。2代目125ガンマこと RG125Γ
出典:BikeBros.
1990年にモデルチェンジした2代目Vガン VJ22A
出典:BikeBros.
そうそう、余談ですがVガンマの最終形態であるVJ23Aは…誰が名付けたのかUFOというあだ名でしたね…。
こいつはエンジンの挟み角が変更されたり、フレームも一新されたりと最終形態に相応しい車両。
乾式クラッチやカセットミッションが標準装備…というか無印が無くなってSPのみとなりました。
UFOこと3代目Vガン RGV250ΓSP
出典:BikeBros.
本題
さてさて今回の主役であるNF13A、RG125Γですが、コイツは前年の1990年に登場したTS125Rというオフ車の兄弟モデル…と言っても過言ではないかも。
これは最終型(1997年モデル)だけど TS125R
出典:BikeBros.
水冷化されたTSの新型エンジンを流用する形でガンマが登場。
これまた余談ですが、空冷時代のTSはハスラーという名称が使われており…ハスラー=バイクであり、超人気となった車に同名が使われた時には懐かしく思った方も多いでしょう。
あのア〇レちゃんがCMやってた車ね。
TSのエンジンの流用…とは言っても、セッティング関係は大幅に変更されているようで。
VJ22Aそっくりな見た目は伊達ではなく、新設計のツインスパーフレームに当時では珍しい倒立フォークを採用したというスーパーな125ccでした。
今と違って125ccクラスってあんまり人気無かったからね。
このエンジンはガンマだけでなく、ガンマのカウルレスとも言えるウルフ125にも搭載。
兄弟車こと WOLF125
出典:BikeBros.
更にはTS200Rよろしく、ガンマとウルフにも200ccモデルが存在するという…まさに今では考えられないような時代でした。
夢のような時代だ…。
話は125ガンマに戻して、こいつの最大の?特徴は何と言ってもエンジン。
国内仕様では22PS…今で言うと16.2kWというハイパワー。
(オジサンたちには馴染みのないkW…)
2stと4stということで比較するには可哀そうだが…現行のGSX-R125が11kW(15PS)である。
もっと言えばGSX250Rが18kW(24PS)である。
更には輸出仕様では33PSというハイパワーとなっており、kWにすれば24.3kWという恐ろしさ。
日本では自主規制により125ccクラスは22PSとなっていたため、こういったことになっていますが潜在能力としては33PSということ。
まさに当時はもちろん、今に至っても市販車では125ccクラス最速の名が与えられる可能性が高いバイクです。
…なんてことを言うと、カジバのミト125があるだろう!と言われるのでしょうが。
原二最強? MITO125
出典:BikeBros.
そんなこんなで当時の125ccクラスのプロダクションレースを席捲する勢いとなったRG125Γです。
グリッド上のほとんどが125ガンマになった…という話もありますが、それ以前にはグリッド上のほとんどがTZR125だったそうで。
TZR125は比較すると設計が古く…ホンダはNSR125Fがあったもののホンダイタリアからの輸入ということで1,000台の限定販売。
カワサキは…ほら、AR125くらいしかなくあれも1988年が最後だから…。
この頃…に限らない気もしますが、125ccクラスなんて人気のないクラスでしたからねぇ。
あまり車種が選べなかったという背景もあるようです。
なんと言っても4stなら400cc、2stなら250ccの時代。
4st250cc4気筒なんて女の子のバイクとか言われちゃう時代だったそうですから。
思い出話
そんなRG125Γですが、実は自分一時期乗っていました。
(こんな写真しかなくてスマン)
時は既に2000年代前半となっており、時代の流れは4stに。
50ccクラスではギリギリ2stが生き残っており、周囲の友人ではLive Dio ZXとか、JOG ZRとか乗ってましたね。
今思うと懐かしの、羽の生えた原付スクーターシリーズが流行った時代…の最終盤でしょう。
当時は今と違って125ccクラスなんてほぼ絶滅に近く、新車なんて何かあったかなぁ?というような状態。
4stならあったかもしれないものの、2stをギリギリ知っている世代としては4st125なんて遅いバイクは嫌だ!と思ってた時期ですね。
確か4stの125も…いわゆるビジネスバイクみたいなやつばっかりだったような…。
そして親の車の保険にただ乗り(ファミリーバイク特約)するために、「125cc以下で速いやつ」という条件で探しだしたのがRG125Γでした。
当時は原付免許しか持っていない子たちもNS-1とかTZR50とか、2stゼロハンスポーツを中古で探して乗ってた時代ですねぇ。
今思えば超小さな争いですが、4stのレッツ4に乗ってた奴が「マジで?レッツー(レッツ2)じゃなくてレッツフォー?」とか言われて馬鹿にされてました。
250cc以上になると既にNSR250だTZR250だというのは高校生には買える値段ではなく、レプリカ人気も下火なのかホーネットやバリオスなんかが多かった。(いわゆるネイキッドブームの時代)
でも4気筒が人気で2気筒のVTRとかはあまり人気が無かった辺りが…高校生って感じでしたね。
何度も繰り返しますがVJ22Aに似ていて超カッコいい車両だったのですが…1つなかなか笑えることがあるんです。
あんまり触れられていない気もしますが、実はこの125ガンマは超カッコいいツインスパーフレームを採用していながら…その材料は鉄。
ドテチンなんですね。
普通に磁石がフレームに張り付き、仲間内では「冷蔵庫かよ!」とか言われていたのが懐かしい思い出。
カッコいい「への字」のスイングアームも確か鉄だったような?
更に懐かしい思い出と言えば、友人のトゥデイと一緒に出掛けた際には…そのペースに付き合わされたことでプラグがカブってご臨終。
しかも当時の2stは仕方ないのか、それともガンマは特にひどかったのか…トルクの谷が物凄いのも特徴。
別名モモンガ現象なんて言われてましたが、低回転で「モンモンモンモンモン」と吹け上がらないようなボコ付きを起こし…そこを超えると「ガー!」と猛烈に加速していく。
トゥデイのペースに合わせると、そのモンモンモンのところで走らなくてはいけなくて大変だった思い出。
125ccながら60km/h以下で走るには向いていないという、頭のおかしなバイクです。
自分の腕が未熟なのかもしれないですが…キャブセッティングをいじくりまわしても良くはなれど消えはしなかったなぁ。
更には(当時の)スズキの2st車全般で抱える排気デバイスSAECの問題点も。
これまた誰が名付けたのか「自爆装置」とか「時限爆弾」と呼ばれるもので、排気デバイスを定期的にメンテしないと壊れるというもの。
これまた誰が名付けたのか「おたふくソース」と呼ばれる、まさに名前通りの黒いドロドロの液体が排気デバイスに溜まる。
放っておくとこれが煮詰まり…固着して排気デバイスを破壊するという…まさに自爆装置であった。
当時は既にネットが存在しており、ありがたい先人の方達の情報により…自分は壊したことは無いけど。
なんて悪いことばかり書いたものの、高回転を維持して乗れれば当時多かった250cc4気筒と同等に走れるスプリンター。
むしろ軽さを活かしてワインディングなどでは125ガンマの方が速く走れたりも。
ある意味では自分が小排気量車にハマるきっかけとなったバイクです。
臭い汚いうるさいと言われ、仲間内でのツーリングでは最後尾が定位置となってしまう2stの宿命はありますが…250ccほど命の危険を感じず、ぶん回して乗るのが楽しいのが魅力。
今でも部品が出るなら乗りたいなぁ…出ないんだけどね。